キッチンに立っているとき、子どもが足元までやってきてヒヤッとした経験はありませんか。料理をしているこちらとしては、ほんの数秒前までリビングで遊んでいたはずなのに、気づけばすぐ後ろにいる。子どもが小さいころは、そんなことが珍しくありません。
キッチンには、火や熱湯だけでなく、包丁、洗剤、炊飯器、電気ケトル、調理家電など、子どもにとって危険になり得るものが集中しています。
こども家庭庁の2026年3月版「こどもの事故防止ハンドブック」でも、電気ケトルや炊飯器によるやけど、キッチンでの刃物事故などが取り上げられています。
だからといって、四六時中「入っちゃダメ」「触らないで」と言い続けるだけでは、親も子どもも疲れてしまいます。大切なのは、子どもが触る、引っ張る、開ける、登る、倒すという行動をする前提で、事故が起きにくいキッチンにしておくことです。
このページでは、キッチンで起きやすい子どもの事故を確認しながら、調理前・調理中・調理後の安全対策、収納の見直し方、ベビーゲートの使い方まで整理します。
このページでわかること
- キッチンで起きやすい子どもの事故
- やけど・切り傷・誤飲を減らす環境づくり
- 調理前・調理中・調理後に確認すること
- ベビーゲートを使うときに気をつけたいこと
- 年齢によって変わるキッチンの危険
- 3分でできるキッチン安全チェック
キッチン事故の早見表
最初に、キッチンのどこを優先して確認すればよいか見てみましょう。
| 見る物 | 起きやすい事故 | 最初に確認すること |
|---|---|---|
| コンロ・鍋 | やけど・火災 | 子どもが近づけないか |
| ケトル・炊飯器 | 熱湯・蒸気やけど | 本体とコードの位置 |
| 包丁・ハサミ | 切り傷 | 使用後の収納場所 |
| 洗剤・薬品 | 誤飲・中毒 | 低い収納にないか |
| 引き出し | 挟み・切り傷 | 危険物を取り出せないか |
| 調理家電 | 落下・やけど | コードや扉へ届かないか |
| ゴミ箱 | 誤飲・けが | 中身へ自由に触れないか |
キッチンでは、「一つの物=一つの事故」とは限りません。電気ケトルは、本体へ触れてやけどをするだけではなく、コードを引っ張って倒せば熱湯を浴びる可能性があります。包丁も、使用中だけでなく、料理の途中でまな板へ置いた瞬間や、収納している引き出しを子どもが開けたときにも危険があります。
物そのものだけでなく、子どもがそこへどう近づくかまで見ることがキッチンの安全対策では大切です。
キッチンはなぜ子どもに危険?
家の中には危険な場所がいくつもありますが、キッチンには性質の違う危険が狭い範囲に集まっています。さらに、料理をしている大人の手がふさがりやすいことも、リビングなどとは違うところです。
熱・刃物・薬品が同じ場所にある
キッチンには、次のような物があります。
- コンロ
- 熱い鍋
- 電気ケトル
- 炊飯器
- 包丁
- ハサミ
- 洗剤
- 漂白剤
- 調理家電
大人にとっては普段から使っている物なので、どこが危険か感覚的に分かっています。でも、小さな子どもに「これは熱い」「これは切れる」「これは口に入れてはいけない」という区別はまだ十分にできません。銀色に光る包丁も、赤く光るコンロのボタンも、湯気が出ている炊飯器も、まずは「触ってみたい物」になることがあります。
そのため、子どもが危険を理解するまで待つのではなく、触ったとしても重大な事故へつながりにくい環境を先に作ることが大切です。
親が料理中は手がふさがる
「キッチンでは子どもから目を離さなければいい」と言われても、実際の料理中には難しい場面があります。片手にはフライパン、もう片方には菜箸。コンロではお湯が沸き、その横では包丁を使っている。そんなときに足元へ子どもが来ると、抱き上げることさえ危険な場合があります。
NITEが公表している台所用品による子どもの事故でも、大人が一緒にいた場合を含め、目を離した隙に事故が起きた事例が報告されています。
料理中の安全は「ずっと見ている」だけに頼るのではなく、そもそも危険な場所へ近づきにくくすることも一緒に考えましょう。
子どもの成長で届く範囲が変わる
赤ちゃんがまだ寝返りもしないころは、キッチンの棚の中まで気にしていなかった家庭も多いと思います。ところが、ハイハイをするようになるとキッチンまで移動し、つかまり立ちが始まれば収納の取っ手へ手が届きます。さらに一人歩きをするようになると、自分からキッチンへ入り、引き出しを開けるようになります。そのうち椅子を運べるようになれば、「高いところへ置いたから安心」とも言い切れません。
安全対策の見直しは年齢だけでなく、次のような変化を目安にすると分かりやすいです。
- ハイハイを始めた
- つかまり立ちを始めた
- 一人歩きを始めた
- 引き出しを開けるようになった
- 椅子を自分で動かすようになった
キッチンで起きやすい7つの事故
キッチンで起こり得る事故は、やけどだけではありません。刃物によるけが、洗剤の誤飲、家電の落下など、さまざまな事故を一つずつ見ていきます。
熱湯・蒸気によるやけど
小さな子どものいる家庭で特に確認したいのが、熱湯や蒸気によるやけどです。
こども家庭庁は、電気ケトルなどへつかまり立ちをしたり、コードを引っ張ったりして本体を倒し、熱湯を浴びる事故があるとしています。炊飯器の蒸気へ触れてやけどをする事故についても注意を呼びかけています。
ここで意識したいのは、「本体に手が届かなければ大丈夫」ではないということです。ケトル本体を調理台の奥に置いていても、コードが手前へ垂れていれば子どもは引っ張れます。炊飯器も本体へ触れなくても、蒸気口が子どもの顔や手に近い高さなら注意が必要です。
- ケトル本体へ手が届かないか
- ケトルのコードも届かないか
- 炊飯器の蒸気へ触れないか
- 熱い飲み物を台やテーブルの端へ置いていないか
- スープなどを子どもの近くへ置いていないか
こども家庭庁は、高温の飲み物や汁物をテーブルへ置く場合は子どもの手が届かない中央へ置き、子どもを抱っこしたまま扱わないよう案内しています。また、テーブルクロスやランチョンマットは、引っ張ることで上の容器を倒す原因になるとして注意を促しています。
キッチンでは「熱い物」だけでなく、熱い物を子どもの方へ引き寄せられる物がないかまで見てください。
コンロ・グリルによるやけどや火災
ガスコンロでは炎、IHでは高温になる天板や鍋に注意が必要です。
15件
NITEが2010年度から2019年度までに収集した0〜15歳の子どもが関連する台所用品事故49件のうち、ガスこんろの事故が15件と最も多く、事故の種類ではやけどが多く報告されていました。これは過去の一定期間に収集された製品事故情報ですが、コンロ周辺の危険を考える参考になります。
事例には、子どもがガスコンロで調理中に近づきすぎ、衣服へ火が燃え移った事故もあります。コンロ周辺では、次のことを意識します。
- 調理中に子どもを近づけない
- 鍋やフライパンの取っ手を通路側へ出さない
- コンロの近くに燃えやすい物を置かない
- 子どもがスイッチを操作できないか確認する
- グリル使用中・使用後も近づかせない
「IHなら火が出ないから安全」と考えるのも早計です。IHでも鍋やトッププレートは高温になりますし、NITEにはIH調理器で揚げ物中に油が発火した事故もあります。取扱説明書に従った鍋・油量・加熱方法を守ることが必要です。
ガスかIHかだけで安全を判断するのではなく、子どもが調理場所へどこまで近づけるかを優先して見てください。
包丁・ハサミ・調理器具によるけが
包丁は「使った後に引き出しへしまっているから大丈夫」と思いやすい物です。でも実際には、料理途中でまな板へ置いている時間もあります。
こども家庭庁は、1〜6歳頃のキッチン付近での包丁・ナイフによるけがについて、使用した刃物はすぐ収納し、収納場所の扉や引き出しにはチャイルドロックなどを使うことを案内しています。
キッチンでは包丁だけでなく、次の物も見てください。
- キッチンバサミ
- ピーラー
- スライサー
- フードプロセッサー
- ハンドブレンダー
NITEには、子どもが一人でハンドブレンダーを操作し、刃に触れて指を負傷した事例があります。
刃物類は、次の3つの場面に分けて考えると見落としにくくなります。
- 収納中/引き出しを開けられないか
- 使用中/台の端へ置いていないか
- 使用直後/「後で片づけよう」と出したままにしていないか
料理を中断するときほど確認したいところです。
洗剤・漂白剤などの誤飲
シンク下は、大人にとって洗剤をしまいやすい便利な収納です。ところが小さな子どもにとっては、ちょうど手が届く高さでもあります。
こども家庭庁は、医薬品や洗剤などの誤飲は重大な症状につながるおそれがあるとして、子どもの目に触れず、手の届かない場所へ保管するよう案内しています。食品と見た目が似ている製品についても特に注意が必要です。
確認したいのは、次のような物です。
- 食器用洗剤
- 漂白剤
- 食洗機用洗剤
- キッチンクリーナー
- 除菌用品
- 詰め替えパック
「ふたが閉まっているから大丈夫」ではなく、子ども自身が取り出せない場所かで考えます。シンク下へ置く必要がある場合は、子どもが簡単に開けられない収納になっているかも確認してください。
洗剤などを飲料用ペットボトルへ移し替えるのは避けましょう。子どもだけでなく、大人が飲料と間違える原因にもなります。
引き出し・収納での挟み・切り傷
キッチンの引き出しには、子どもの興味を引く物がたくさん入っています。取っ手を引けば開くことに気づくと、何度も開閉して遊ぶ子もいます。
問題は、引き出しそのものに指を挟むだけではありません。中に次のような物が入っていれば、別の事故へつながります。
- 包丁
- ハサミ
- 割れ物
- 串
- 重い鍋
- 洗剤
特に低い引き出しでは、次のところまで想像してください。
- 引き出しを開ける
- 中の物を触る
- 引っ張り出す
危険な物を入れている引き出しには、子どもが開けにくくする対策を検討します。ただし、安全用品も一度取り付ければ終わりではありません。子どもが解除方法を覚えていないか、緩んでいないかを定期的に確認しましょう。
家電・コードによる落下ややけど
キッチン家電は、本体だけを見ると見落としがあります。子どもが先に触るのはコードかもしれないからです。電気ケトル、炊飯器、トースター、ミキサー、ホットプレートなどは、コードを引いたら本体がどこまで動くかを一度確認してみてください。
NITEには、電子レンジの扉を開いたままにしていたところ、2歳の子どもが扉をつかみ、本体が落下して負傷した事例があります。「高い場所に置いてある家電」でも、開いた扉やコードが子どもの手の届く位置まで来ることがあります。
チェックしたいのは、次の5点です。
- コードが調理台から垂れていない
- 家電の扉へぶら下がれない
- 家電が不安定な場所に置かれていない
- 使用後も熱い家電へ触れない
- 使っていない家電を子どもが操作できない
ゴミ箱からの誤飲・けが
意外と忘れやすいのがキッチンのゴミ箱です。大人にとっては「捨て終わった物」でも、子どもにとっては中身を取り出せる箱です。ゴミ箱には、次のような物が入ることがあります。
- 食品包装
- ラップ
- 缶
- 割れた容器
- 竹串
- 骨
- 空になった洗剤容器
- 小さなふた
特に食品の包装フィルムなどは、こども家庭庁も誤飲・窒息への注意を呼びかけています。ふた付きであっても、子どもが自分で開けられるなら安心とは言えません。ゴミ箱も収納の一つと考えて、子どもが自由に中身へ触れない位置や仕組みを検討しましょう。
調理前・調理中・調理後で危険は変わる
キッチンの安全対策を「危険な物の一覧」だけで考えると、実際の料理中に使いにくいことがあります。そこで、私は料理の流れに合わせて3つに分けて考えると分かりやすいと思います。
調理前に子どもの動線を確認する
料理を始める前は、まだ火も包丁も使っていません。だからこそ、この段階で少し準備しておくと料理中が楽になります。
- 床に物を置いていないか
- 子どもがキッチンへ入れる状態か
- 必要な調理器具がそろっているか
- 危険な引き出しが閉まっているか
- 子どもが過ごす場所を確保できているか
料理中に「あれが足りない」と別の部屋へ取りに行くと、その間に火や刃物から目を離すことになります。必要な物を先に準備することも、安全対策の一つです。
調理中は火・熱湯・刃物を近づけない
調理中は、キッチンの危険が最も増える時間です。包丁を使っているところへ子どもが抱きつく。鍋を持って振り返ったら後ろに子どもがいる。子育て中なら、十分にあり得る場面です。
- 熱い鍋や油を扱うときに子どもを抱っこしない
- 包丁を調理台の端へ置かない
- 鍋やフライパンの取っ手を奥へ向ける
- 子どもが足元へ入り込まない環境を作る
- 熱い飲み物を子どもの近くへ置かない
こども家庭庁も、調理器具は取っ手を奥へ向け、キッチンへ子どもを入れないようゲートを設置することなどを案内しています。NITEも、子どもと料理をする際には刃物や火の危険性、正しい使い方を確認するよう呼びかけています。
小学生などが料理を手伝う場合は、単に「危ないから触らない」ではなく、どこが危ないのか一緒に確認する段階へ変えていきます。
調理後も熱い物は残っている
料理が終わると、つい気が緩みます。でもキッチンでは、火を消した瞬間にすべてが安全になるわけではありません。こども家庭庁も、フライパンや鍋は調理後も高温の場合があるため、子どもへ触れさせないよう注意を促しています。
調理後には、次のような物が熱を持ったまま残ります。
- 鍋
- フライパン
- グリル
- オーブン
- トースター
- 炊飯器
- ケトル
「使い終わった物」ではなく、まだ熱を持っている物として扱ってください。包丁や調理器具についても、「食事を先にしよう」と出したままにせず、安全な状態へ戻してからキッチンを離れると安心です。
キッチンへ入れない環境を作る
まだ危険を理解できない小さな子どもには、「キッチンへ入らないでね」と何度言っても難しい時期があります。その場合は、言葉だけではなく環境で距離を作ることも考えましょう。
ベビーゲートは正しく使う
ベビーゲートは、キッチンへの侵入を防ぐ方法の一つです。こども家庭庁も、刃物や調理器具の事故対策として、キッチンへ子どもを入れないためにベビーゲートなどを利用することを案内しています。
ただし、「ゲートを置いた=安全」ではありません。東京都は、ベビーゲートについて次のことなどを案内しています。
- 取扱説明書どおりに固定する
- 設置場所に必要な強度があるか確認する
- 完全に閉まるか確認する
- がたつきや緩みを定期的に点検する
- 閉め忘れに注意する
子どもが成長すると、自分で開けたり、登ったりすることもあります。ゲートそのものを過信せず、今の子どもに対して本当に侵入を防げているかを確認してください。
オープンキッチンは別の対策も組み合わせる
間取りによっては、一般的なベビーゲートを取り付けにくいキッチンもあります。その場合は、次のような対策を組み合わせます。
- 危険物を低い収納へ入れない
- 引き出しを開けにくくする
- ケトルや炊飯器のコードを隠す
- 調理中に子どもが過ごす場所を決める
- コンロ周辺へ近づきにくい家具配置にする
家の間取りに合わない安全用品を無理に使うよりも、どの事故を防ぎたいのかを先に考えることが大切です。
収納は「高い場所」だけで判断しない
危険な物は高いところへ置く。基本としては分かりやすい方法ですが、子どもが成長すると「高さ」だけでは判断できなくなります。
椅子を使ったら届かないか
洗剤や薬などを高い収納へ移したら、一度周囲を見てみてください。その下に、次のような物はないでしょうか。
- 椅子
- 踏み台
- ゴミ箱
- 収納ケース
子どもが椅子を動かせるようになると、「手の届かない場所」の範囲は一気に変わります。高いか低いかではなく、子どもが自分でたどり着けるかで判断してください。
低い収納は中身を選ぶ
キッチンの収納すべてを子どもの手が届かない高さへ移すことはできません。そこで、低い場所には何を入れるかを見直します。少なくとも、次の物については優先的に確認します。
- 包丁
- 刃物
- 洗剤
- 漂白剤
- 割れやすい物
- 重くて落とすと危険な物
触れても重大事故につながりにくい物だけを低い収納へ置く方法もありますが、子どもの年齢や行動によって安全性は変わります。「この引き出しなら開けても大丈夫」と決める場合も、中身を定期的に見直してください。
ゴミ箱も収納として考える
キッチン収納を確認したら、最後にゴミ箱も見ます。特に子どもがふたを開けられるようになったら、ゴミ箱も「低い収納」とほぼ同じです。
危険な物を捨てた日は、「ゴミ箱に入れたから終わり」ではなく、子どもがそこから取り出せないかまで考えておきましょう。
年齢で変わるキッチンの危険
キッチンの事故対策は、子どもの成長と一緒に変えていく必要があります。同じ場所でも、0歳と5歳、小学生では危険になる行動が違います。
| 年齢の目安 | キッチンで特に確認すること |
|---|---|
| 0歳 | 抱っこ中・熱い物 |
| 1〜2歳 | 低い収納・コード・蒸気 |
| 3〜6歳 | コンロ・椅子・調理器具 |
| 小学生 | 包丁・火・家電の使い方 |
0歳は抱っこ中の事故を見る
まだ自分でキッチンへ来ない赤ちゃんでも、事故が起きないとは限りません。抱っこしながら熱いコーヒーを持つ。抱っこしたまま鍋を扱う。熱い離乳食をすぐ近くへ置く。
この時期は、赤ちゃん自身の行動より、大人が赤ちゃんを抱いている状態で何を扱うかを見てください。こども家庭庁も、高温の飲み物や汁物は子どもを抱っこしたまま扱わないよう案内しています。
1〜2歳は低い収納とコードを見る
一人で移動できるようになると、キッチンの危険は大きく変わります。特に次の場所を確認します。
- 低い引き出し
- 洗剤収納
- ケトルのコード
- 炊飯器
- ゴミ箱
この時期は、「触る」だけでなく「引っ張る」が増える時期です。コードの先に何があるかまで見てください。
3〜6歳は自分で触る前提で考える
3〜6歳頃になると、椅子を運んだり、引き出しのロックを解除したりできる子もいます。「高いから届かない」という安全対策が通用しなくなってきます。また、大人のまねをして料理をしたがる時期でもあります。
危険な物へ近づけない環境を残しながら、「包丁は手を切る物だから勝手に触らない」「ここは料理が終わっても熱いことがあるよ」と、理由も一緒に伝えていきましょう。
小学生は安全な使い方を教える
小学生になると、「キッチンには絶対入らない」という対策から少しずつ変わっていきます。電子レンジを使う。お湯を沸かす。簡単な料理を手伝う。自分で使う場面が増えるからこそ、安全な扱い方を身につけることが必要です。
- 包丁を持ったまま歩かない
- 火を使っている場所から離れない
- コンロへ近づきすぎない
- 電子レンジで使えない容器がある
- 熱い容器は素手で持たない
これらを一つずつ実際の生活の中で教えていきます。「もう小学生だから大丈夫」ではなく、自分でできることが増えた分だけ、新しい危険も増えると考えましょう。
3分でできるキッチン安全チェック
ここまで読んだら、スマートフォンを持ったままキッチンを一周してみてください。全部を一度に直す必要はありません。まず気になるところを見つけるためのチェックです。各項目はタップしてチェックを付けられます。
熱い物
刃物
洗剤・収納
家電・コード
キッチンの出入口
一つでも「ここは危ないかも」と思った項目があれば、そこから直します。全部の安全用品を買いそろえる必要はありません。ケトルを奥へ移す。洗剤の収納場所を変える。ゴミ箱の位置を変える。物を移動するだけで減らせる危険から始めるのがおすすめです。
キッチン安全対策でやりがちな勘違い
安全対策をしているつもりでも、子どもの行動を考えると十分ではないことがあります。よくある考え方を一度見直してみましょう。
「IHならやけどしない」
IHは炎が出ませんが、やけどや火災の危険がなくなるわけではありません。鍋やフライパンは高温になりますし、加熱後のトッププレートにも熱が残ります。NITEでも、IHで揚げ物を調理中に油が発火した事故が紹介されています。ガスかIHかだけで安全性を判断せず、子どもを調理場所へ近づけないことを基本にしてください。
「高い場所なら届かない」
今は届かなくても、椅子を持ってくれば届くかもしれません。昨日まで動かせなかった踏み台を、今日初めて運ぶこともあります。高さを見るときは、必ず周囲の椅子や箱も一緒に確認しましょう。
「ベビーゲートを付けたから安心」
ベビーゲートは便利ですが、閉め忘れれば通れます。固定が緩めば外れることがありますし、成長すると乗り越えたり、ロックを解除したりする可能性もあります。東京都も、閉まり方やがたつきを定期的に確認するよう案内しています。ゲートは「見なくてよくなる道具」ではなく、事故を起こしにくくするための仕組みの一つとして考えましょう。
「料理が終われば安全」
火を消しても、鍋やフライパンはすぐには冷えません。グリルやオーブンも熱を持っています。調理後こそ、食事の準備などで大人の注意が別の方向へ向きやすい時間です。キッチンを離れる前に、熱い物と刃物だけでも一度確認する習慣をつけておくと安心です。
「子ども用品だけ片づければいい」
キッチンで危険なのは子どもの物より、むしろ大人が日常的に使っている物です。包丁、洗剤、熱湯、アルコール、家電。大人にとって当たり前の物ほど、置き場所を疑わなくなります。子どもの安全を確認するときは、「子ども用品を片づける」のではなく、大人の生活用品を子どもの目線から見直すことが大切です。
キッチン事故についてよくある質問
キッチンは家庭によって間取りも設備も違うため、「これさえすれば大丈夫」という一つの答えはありません。よく迷いやすい点をまとめます。
赤ちゃんのキッチン対策はいつから必要?
赤ちゃんを迎える前から始めても問題ありません。特にハイハイが始まると、自分でキッチンへ移動できるようになります。つかまり立ちが始まる前には、低い収納やコードも一度確認しておくと安心です。「○か月になったら」というより、自分で移動するようになったら本格的に見直すと考えるとよいでしょう。
ベビーゲートはいつまで使う?
一律に何歳までとは決められません。製品ごとに使用対象年齢があるため、必ず取扱説明書を確認してください。東京都は、一般的なベビーゲート等について使用対象年齢を超えると、子どもがロックを解除するなどして移動を防げないおそれがあることも案内しています。年齢だけでなく、子どもが開ける、登る、越えるようになったら対策を見直します。
IHなら子どもがいても安全?
炎が出ないという特徴はありますが、子どもの事故をすべて防げるわけではありません。鍋、油、高温になった調理器具などによるやけどや火災は考えられます。IHでも、調理中の子どもとの距離を確保することが基本です。
包丁は高い場所へ置けば大丈夫?
高い場所へ収納することは対策の一つですが、それだけで判断しない方がよいでしょう。子どもが椅子を使えば届く場所ではないか、使用中に台の端へ置いていないかも確認します。こども家庭庁も、使用した刃物はすぐ収納することを案内しています。
炊飯器はどこに置けばいい?
子どもの手が本体や蒸気口へ届かず、コードも引っ張れない位置を考えます。特に蒸気が出るタイプでは、本体の高さだけでなく、蒸気が出る方向も確認してください。こども家庭庁は、炊飯器から出る蒸気によるやけどを防ぐため、子どもの手が届かない位置への設置を案内しています。
洗剤はシンク下に置かない方がいい?
シンク下は小さな子どもの手が届きやすい場所なので、誤飲すると危険な洗剤などは、子どもが取り出せない環境にする必要があります。こども家庭庁は、洗剤などを子どもの目に触れず、手の届かない場所へ保管するよう案内しています。別の場所へ移せない場合は、収納そのものを子どもが開けられないようにする方法も検討しましょう。
キッチンは「触れるか」だけでなく「その後」を見る
キッチンの安全対策では、「手が届くか」を確認するだけでは足りません。
- ケトルへ直接は届かない。でもコードは引っ張れる。
- 包丁へ直接は届かない。でも引き出しは開けられる。
- コンロへ直接は届かない。でも椅子を運べる。
このように、子どもの次の一手まで考えてみることが大切です。
子どもの行動をすべて予測することはできません。だからこそ、「ちゃんと見ていなければ」と親だけに負担をかけるのではなく、事故が起こりにくい環境を作ることが必要です。こども家庭庁も、安全な製品の選択や正しい利用、子どもの周囲の環境整備によって防げる事故があるとしています。
まず今日、キッチンへ立ったら一度しゃがんでみてください。そこから見える引き出し。垂れているコード。低い収納。ゴミ箱。そして立ち上がったら、調理台の端にある物を見ます。
一つでも「ここは移動できそう」と思う場所があれば、そこから変えていきましょう。子どもの成長に合わせてキッチンも少しずつ変えていくことが、無理なく続けられる安全対策です。

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