トイレは家の中でも狭く、大人の目には「それほど危険な物がない場所」に見えるかもしれません。
けれど、子どもの高さまで目線を下げてみると印象が変わります。便器にはいつも水があり、踏み台が置かれ、便座やふたは動きます。洗剤や消臭剤が床に置かれている家庭もあるでしょう。水を流すレバーや温水洗浄便座のボタンも、子どもには触ってみたくなる物です。
131人
東京都が未就学児の保護者3,000人を対象に行った水回りのヒヤリ・ハット調査では、トイレで危害やヒヤリ・ハットを経験した人は224人。そのうち「転落・転倒」が131人と最も多く、便器や子ども用便座に関係する事例が目立ちました。
トイレトレーニングが始まれば、子ども自身がトイレを使う機会も増えていきます。「危ないから近づけない」だけではなく、成長に合わせて安全に使える環境へ変えていくことが大切です。
このページでは、便器への転落、補助便座や踏み台からの転倒、指挟み、洗剤や消臭剤による事故から、外出先のおむつ交換台まで、トイレで起きやすい子どもの事故と安全対策を紹介します。
このページでわかること
- 便器への転落を防ぐ方法
- 補助便座・踏み台を安全に使う方法
- 便座やドアでの指挟み対策
- 洗剤・消臭剤を置く場所
- 外出先のおむつ交換台での転落防止
- トイレで事故が起きたときの対応
トイレではどんな子どもの事故が起きる?
トイレの事故は、便器へ落ちる事故だけではありません。子どもの成長によって「触れる場所」「登れる高さ」「自分でできる動作」が変わるため、事故の種類も変化します。まずはトイレのどこに危険があるのか、全体を見てみましょう。
| トイレでの場面 | 起こり得る事故 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 便器をのぞく | 転落・溺水 | ふた・一人での侵入 |
| 補助便座へ座る | 転落・姿勢崩れ | ずれ・固定 |
| 踏み台へ乗る | 転倒・頭部打撲 | 安定性 |
| 便座やふたを動かす | 指挟み | 手の位置 |
| トイレ内を歩く | 転倒 | 床・マット |
| 洗剤へ触る | 誤飲・目や皮膚への接触 | 保管場所 |
| 消臭剤へ触る | 誤飲・薬液への接触 | 設置場所 |
| おむつ交換台を使う | 転落 | ベルト・見守り |
東京都の調査では、トイレでの危害・ヒヤリハットの58.5%が転落・転倒で、便器が84人、子ども用便座が34人と多くなっています。ほかにも、指を挟む、物へぶつかる、消臭剤を舐めるなど幅広い事例が確認されています。
「便器だけ安全にすればいい」と考えず、床・踏み台・便座・薬剤まで順番に見ていきましょう。
トイレだけでなく、お風呂や洗濯機など水回り全体の事故リスクをまとめて把握したい方は、以下の総合ガイドもあわせてご覧ください。
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便器をのぞき込んで転落する事故を防ぐ
便器は大人には腰より低い設備ですが、つかまり立ちを始めた乳幼児にとっては、ちょうど手を掛けやすい高さになることがあります。
東京都の調査では、便器のふたを開けたままにしていたところ、0歳児が便器につかまり立ちをして中をのぞき込んでいたというヒヤリ・ハットも報告されています。
つかまり立ちを始めると便器へ手が届く
つかまり立ちを覚えた子どもは、「ここにつかまって立とう」と安全性を判断しているわけではありません。家具、浴槽、便器など、手が届いて体を支えられそうな物には自然に手を掛けます。
便器につかまり、さらに水を見ようとして上半身を前へ出すと、重心が便器側へ移ります。乳幼児は頭の割合が大きく、姿勢を崩したときに自力で元へ戻れないことがあります。
便器には常に水がある
お風呂との大きな違いは、便器の中には普段から水があることです。消費者庁も、便器内には常時水がたまっているため、小さい子どもが誤って落ちないよう、便器のふたを閉じ、勝手にトイレへ入れないようにすることを案内しています。
事故の流れは、次のように考えると分かりやすくなります。
- 一人でトイレへ入る
- 便器へ手を掛ける
- 中の水を見る
- さらに身を乗り出す
- 頭から便器側へ落ちる
「水が少ないから大丈夫」ではなく、そもそも頭から落ちる状態を作らないことが大切です。
小さいうちは便器のふたを閉めておく
小さな子どもがいる家庭では、トイレを使ったら便器のふたを閉める習慣を付けておきましょう。東京都も、乳幼児のトイレ事故を防ぐ方法として、便器のふたを閉めておくことを挙げています。
ただし、ふたを閉めていれば絶対に安全という意味ではありません。成長すると子ども自身でふたを開けられるようになるからです。ふたを閉めることと、一人でトイレへ入れない環境づくりを組み合わせます。
小さいうちは子どもだけでトイレへ入れないようにする
便器への転落事故を考えるとき、便器そのものへの対策と同じくらい大切なのが「子どもだけでトイレまで行けるか」です。昨日までドアを開けられなかった子が、ある日突然ドアノブへ手を伸ばし、自分で入れるようになることがあります。
トイレドアを開けられるようになったら見直す
歩き始めたばかりの頃は、トイレの前まで来ても中へ入れないかもしれません。けれど、背が伸びたりレバーハンドルの操作を覚えたりすれば状況は変わります。
「今までは入らなかったから大丈夫」ではなく、次の3点を成長に合わせて見直してください。
- トイレまで歩けるか
- ドアを開けられるか
- 便器のふたを開けられるか
一人で入れない工夫を考える
乳幼児期には、必要に応じてトイレへ一人で入れない環境を作ることも対策になります。
トイレの鍵や補助器具を追加する場合は、大人が必要なときにすぐ開けられることや、閉じ込めにつながらないことも重要です。製品を利用する場合は対象年齢と使用方法を確認し、子どもの成長後も同じ方法を続けないようにします。
使用後はふたとドアを戻す
家族の誰か一人だけが気を付けても、別の家族が便器のふたやドアを開けたままにすれば事故条件が戻ります。小さい子どもがいる間は、次のところまでを家族の習慣にしておくと、対策が続きやすくなります。
- トイレを使う
- 便器のふたを閉める
- 必要な状態までドアを戻す
子ども用便座はずれや転落を確認してから使う
トイレトレーニングが始まると、補助便座や子ども用便座を使う家庭が増えます。子どもの自立を助けてくれる便利な用品ですが、設置状態が悪ければ転落の原因になることがあります。
東京都の調査では、トイレの転落・転倒事例のうち、子ども用便座に関する経験者が34人いました。便座がきちんと設置されておらず落下したり、子どもが前のめりになって倒れたりする事例が確認されています。
補助便座がずれていないか毎回確認する
補助便座は大人用便座へ重ねて使用する製品が多いため、使用前に正しい位置へ付いているかを確認します。左右にずれている、ガタつく、子どもが体を動かすと一緒に動く状態なら、そのまま座らせないでください。固定方法は製品によって違うため、取扱説明書に従います。
大人用便座へ座らせるときは体格を見る
東京都の調査には、子ども用便座を外して大人用便座へ3歳児を座らせたところ、便座にはまってしまった事例もあります。
「もう大きくなったから補助便座はいらない」と年齢だけで判断せず、大人用便座へ安定して座れる体格になっているかを見ましょう。
一人で安定して座れるまでは近くで見る
トイレトレーニングが始まると、「自分でやりたい」という気持ちも強くなります。その気持ちは大切にしつつ、まだ姿勢が安定しないうちは大人がすぐ支えられる位置にいます。自分で排泄できることと、安全に便座へ乗り降りできることは別です。
対象年齢と使用方法を確認する
補助便座には製品ごとに対象年齢や体重、取り付け可能な便器があります。「子ども用だからどの便器にも安全に使える」と思い込まず、自宅の便器へ正しく設置できる製品を使用してください。
トイレの踏み台からの転倒を防ぐ
補助便座と一緒に、子ども用の踏み台を使う家庭も多いでしょう。足が床へ届かない子どもにとって姿勢を安定させたり、自分で便座へ上ったりする助けになりますが、置き方によっては転倒や別の事故の足場にもなります。
踏み台がぐらつかないか確認する
踏み台へ子どもが乗ったときに、左右へ揺れたり滑ったりしないか確認します。トイレの床材と踏み台の滑り止めが合っていないこともあります。掃除後で床が濡れていると普段より滑りやすくなるため、床を乾かしてから使用させましょう。
無理な姿勢で便座へ上らせない
踏み台と便器の位置が離れすぎていると、子どもが大きく足を伸ばしたり、便座へ飛び移るような姿勢になったりすることがあります。自分で乗り降りさせる場合は、毎回無理のない動作で使えているかを見ます。
踏み台の上を遊び場にしない
子どもにとって段差は、登ったり飛び降りたりしたくなる場所でもあります。「トイレで使うときだけ乗る台」と伝え、上でジャンプしたり、便器以外の場所へ登る台として使わせないようにします。
使用後の踏み台が別の足場にならないか見る
ここは意外と見落としやすいところです。安全のために置いた踏み台が、次のような行動のための足場になることがあります。
- 便器の中をのぞく
- 高い棚へ手を伸ばす
- 洗剤や消臭剤を取る
子どもだけでトイレへ入る可能性がある時期は、使用後の置き場所まで考えてください。
便座やふたで指を挟まないようにする
便座や便器のふたも、子どもにとっては開けたり閉めたりできる「動く物」です。何度も動かして遊んだり、きょうだいが閉めたりすると、間に指を残したまま挟むことがあります。
便座やふたを勢いよく閉めさせない
子ども自身がトイレを使うようになったら、排泄方法だけでなく便座やふたの扱い方も伝えます。「閉めるときは手を離してから」と、何をすればよいかを具体的に伝えると分かりやすくなります。
きょうだいが使うときも手の位置を見る
下の子が便器のそばへ手を掛けているところで、上の子がふたを閉めることもあります。事故を起こすのが本人とは限らないため、きょうだいにも「小さい子の手がないか見てから閉める」というルールを共有しておきましょう。
ソフト閉止機能があっても指を入れない
ゆっくり閉じる便座やふたは、急激に落ちる製品より指挟みの危険を減らせます。ただし、隙間へ指を入れてよいという意味ではありません。安全機能に頼り切らず、動く場所へ手を置かない使い方を教えます。
補助便座の取り付け時にも手を見る
補助便座を載せたり外したりするとき、大人と一緒に触ろうとして子どもが手を出すことがあります。便座と補助便座の間へ指を入れていないことを確認してから設置してください。
トイレのドアでも指挟みや閉じ込めが起きる
トイレの安全確認では、便器へ目が向きやすいのですが、入口のドアも確認したい場所です。
東京都の調査では、2歳児がトイレドアの開閉軸部分を触っていたところ、親が気づかずドアを閉めて指を挟んだ事例が報告されています。
蝶番側へ手を置いていないか確認する
トイレを出入りするときは、ドアノブ側だけでなく蝶番側にも子どもの手がないか確認します。特に狭いトイレでは、大人が後ろを向いたままドアを閉めてしまうことがあります。子どもがすぐ後ろをついてきていないかも一緒に見てください。
子どもが自分で鍵を掛けるようになったら注意する
トイレトレーニングが進むと、ドアを閉めたり鍵を操作したりすることにも興味を持ちます。自分で鍵を掛けたものの開け方が分からず、トイレから出られなくなることがあります。一人で使わせるようになる前に、鍵の扱いも一緒に確認しましょう。
非常時に外側から開けられるか確認する
住宅のトイレドアには、非常時に外側から解錠できる仕組みが付いている製品もあります。自宅のドアがどのような仕組みになっているか、事故が起きる前に確認しておくと安心です。
濡れた床やトイレマットで転ばないようにする
トイレはスペースが狭く、転んだ先に便器・壁・ペーパーホルダーなど硬い物があります。大きく走り回る場所ではありませんが、ちょっとしたつまずきでも顔や頭をぶつける可能性があります。
手洗いの水を床へ残さない
手洗いを自分でするようになると、水を周囲へこぼすことがあります。その場では少量に見えても、靴下や裸足で踏めば滑ることがあります。水が落ちたら、そのままにせず拭く習慣を親子で作りましょう。
トイレマットのめくれやずれを確認する
東京都の調査では、3歳児がトイレマットへ足を引っ掛け、転びそうになった事例も報告されています。マットを使用する家庭では、次の点を確認してください。
- 端がめくれていないか
- 滑って動かないか
- 踏み台と干渉していないか
踏み台とマットを重ねない
マットの上へ踏み台を置くことで、踏み台の脚が不安定になる場合があります。踏み台は製品が想定している平らで安定した床面へ置くことを基本にします。
子どもの動線へ物を置きすぎない
狭いトイレほど、床へ置く物を減らすことも安全対策になります。掃除用品、収納かご、予備のトイレットペーパーなどが、子どもの足に引っ掛かる配置になっていないか見直しましょう。
トイレ用洗剤は子どもの手が届かない場所へ置く
日本中毒情報センターは、トイレ用などの酸性・アルカリ性洗浄剤について、皮膚や粘膜を強く傷める可能性があり、原液や濃い液が少量でも口や目へ入った場合には注意が必要だとしています。
便器の横や床へ洗剤を置かない
掃除のたびに取り出しやすいため、便器の横へ洗剤を置いている家庭もあるでしょう。大人には便利な高さですが、歩き始めた子どもにも手が届きます。使用後は毎回、子どもが簡単に取れない保管場所へ戻してください。
洗剤を別の容器へ移し替えない
洗剤を飲料用のペットボトルやコップなどへ移して置いておくと、子どもが飲み物と間違える原因になります。厚生労働省の誤飲事故報告でも、洗剤や漂白剤を日常的に飲食へ使う容器へ入れて放置しないよう注意されています。
製品は元の容器のまま、表示を確認できる状態で保管します。
掃除中も子どもを一人で入れない
トイレ掃除をしている途中は、洗剤が便器や床へ付いていることがあります。「掃除用品は高い棚へ置いているから大丈夫」でも、使用中だけは状況が変わります。洗剤を使用している間も、子どもが一人で入って触らないようにします。
掃除後はその場へ残さない
掃除が終わった後、「あとで洗面所へ戻そう」と便器の横へ置いた洗剤が、そのまま何時間も残ることがあります。
掃除の終了を、次の2つがそろったところまでと考えておくと残しにくくなります。
- 便器をきれいにする
- 洗剤を元の保管場所へ戻す
消臭剤・芳香剤・除菌剤にも触れさせない
トイレには洗剤以外にも、消臭剤や芳香剤、スプレー式の除菌用品などが置かれています。香りがあり、透明・カラフルな液体やジェル状の製品もあるため、子どもが食品や飲み物のように感じる可能性があります。
東京都の調査では、3歳児が消臭剤をジュースだと思ったのか舐めてしまったというヒヤリ・ハットも報告されています。
床置きタイプを手の届く場所へ置かない
便器の後ろや床の隅は、大人にとって邪魔になりにくい設置場所です。しかし、乳幼児には簡単に手が届きます。東京都も、乳幼児は消臭剤へ興味を持つため、目につかない場所へ置くよう案内しています。
スプレーを勝手に使わせない
スプレー式の消臭剤は、ボタンを押せば音や香りが出るため、子どもが何度も押して遊ぶことがあります。厚生労働省には、5歳児がトイレで消臭スプレーをほぼ1本使い、悪心や目の違和感が生じた事例も報告されています。
大人が使う物として、自由に触れない場所へ保管しましょう。
液体タイプは倒れない場所へ置く
液体の芳香剤・消臭剤は、倒したり中身を触ったりする事故にも注意します。「飲まなければ大丈夫」ではなく、目や皮膚へ付くことも考えて保管場所を決めます。
「いい匂いだから安全」と考えない
芳香剤や消臭剤は香りを楽しむ家庭用品ですが、子どもの玩具ではありません。「いい匂いがする物」と「口へ入れてよい物」は別だと伝えるとともに、説明だけに頼らず手の届かない場所へ移します。
温水洗浄便座や操作ボタンを遊ばせない
ボタンを押すと音が鳴る、水が流れる、ノズルが動く。温水洗浄便座は、子どもにとって反応が返ってくる面白い装置に見えることがあります。東京都の調査でも、2歳児がお尻洗浄シャワーを顔に浴びていたというヒヤリ・ハットが報告されています。
ボタンをおもちゃにしない
トイレを自分で使い始めたら、「押してよいボタン」と「触らないボタン」を一緒に確認します。いろいろなボタンを試して遊ぶ場所にしないようにします。
洗浄ノズルへ顔を近づけない
水が出てくる様子を見ようとして、便器へ顔を近づけることがあります。便器へ身を乗り出すこと自体が転落につながるため、ノズルや便器の中をのぞいて遊ばせないようにします。
電気製品として取扱説明書どおりに使う
温水洗浄便座は水回りで使う電気製品です。本体へ水を掛けたり、ノズルを無理に引っ張ったりせず、製品の説明書に従って使用してください。
トイレットペーパーや収納へ手を伸ばして転ばないようにする
トイレトレーニングが進むと、トイレットペーパーまで「自分でやりたい」と手を伸ばすようになります。その自立はうれしい変化ですが、座った状態で遠くへ手を伸ばすと姿勢を崩すことがあります。
東京都の調査には、2歳児がトイレットペーパーを取ろうと無理に手を伸ばし、便器から前方へ転倒して額を打った事例があります。
無理なく届く位置か確認する
子ども自身にトイレットペーパーを取らせる場合は、便座から大きく身を乗り出さずに手が届くか見てください。届かないうちは大人が渡しても構いません。「全部一人でできること」より、安全にできることを優先します。
便器に座った状態で立ち上がらせない
便器の上で立つ、片足を掛けるといった動作は転落につながります。物を取りたいときには、一度便器から安全に降りてからにします。
高い収納へ物を取りに行かせない
予備のトイレットペーパーなどを便器の上部へ収納している家庭もあります。必要な物を取ろうとして、便器や踏み台へ登らないよう、子どもが自分で使う物だけは手に取りやすい位置へ置く方法もあります。
外出先のおむつ交換台では転落に注意する
家庭のトイレとは違い、外出先ではおむつ交換台を利用することがあります。腰の高さほどある交換台から床へ落ちれば、特に頭を強く打つ危険があります。
71%
消費者庁によると、2010年12月から2019年末までの約9年間に、0〜3歳児がおむつ交換台から転落した事故が58件寄せられました。けがをした場所は頭部が41件で、71%を占めています。
乗せる前に必要な物を準備する
おむつ交換台へ子どもを寝かせてから、「おしりふきがバッグの底にある」と探し始めると、その間に子どもから視線が外れます。乗せる前に、次の物を取り出しておきましょう。
- 新しいおむつ
- おしりふき
- 着替え
- 必要な袋
備え付けのベルトを使う
消費者庁のアンケートでは、おむつ交換台から落ちた、または落ちそうになった経験があり、ベルトが設置されていたケースのうち73.5%が「ベルトはあったが締めていなかった」と回答しています。
ベルトがある交換台では必ず使用します。ただし、ベルトを付けたから一人にしてよいわけではありません。
ごみ捨てや荷物整理は降ろしてから行う
同じ調査では、転落・転落しかけた際の保護者の行動として、「かばんから物を取り出す・収納する」が39.7%、「ごみを捨てる」が30.5%でした。おむつ交換が終わったら、まず子どもを安全な場所へ降ろします。使用済みおむつを捨てる、バッグを整理するといった作業はその後に行います。
「1〜3秒だけ」でも目を離さない
消費者庁のアンケートでは、転落または転落しかけたときに子どもから離れた・目を離した時間が「1〜3秒程度」だった人が50%でした。「ほんの一瞬なら動かないだろう」と考えないようにします。寝返りやつかまり立ちが始まる時期は、昨日とは動き方が違うこともあります。
外出先のベビーチェアも使用条件を確認する
保護者がトイレを使う間、個室内のベビーチェアへ子どもを座らせることがあります。子どもがベビーチェアの座面へ足を掛け、立ち上がろうとして転落し、頭を打つ事故も起きています。
対象年齢・体重を確認する
ベビーチェアには製品ごとに対象年齢や体重があります。「座れるようになったから使える」と自己判断せず、設備に表示された使用条件を確認してください。
座らせたまま目を離さない
ベビーチェアへ座らせた後も、子どもが立ち上がろうとしていないか、体を大きくひねっていないかを確認します。個室内は狭く、大人がすぐに動けない姿勢になっていることもあるため、無理な使い方をしないことが大切です。
立ち上がろうとしたら使用をやめる
足を掛けて立てるようになった子どもでは、これまで安全に使えていた設備が合わなくなることがあります。成長によって使い方が危なくなってきたら、対象年齢の範囲内でも別の方法を考えます。
壊れたりぐらついた設備は使わない
ベルト、座面、固定部分などに破損や大きなぐらつきがある設備は使用しないでください。外出先の設備だから大丈夫だろうと決めつけず、子どもを乗せる前に一度確認しましょう。
トイレの事故は子どもの成長に合わせて変わる
赤ちゃんの頃は便器へ近づくことすらできなくても、歩けるようになればトイレまで行き、さらに成長すれば補助便座や踏み台を使うようになります。安全対策も、成長に合わせて変える必要があります。
| 発達の目安 | 起こりやすい行動 | 確認したい場所 |
|---|---|---|
| ハイハイ | トイレへ入る | ドア・洗剤 |
| つかまり立ち | 便器をのぞく | 便器のふた |
| 1〜2歳頃 | ボタン・ふたを触る | 便座・操作部 |
| 2〜3歳頃 | 補助便座を使う | 便座・踏み台 |
| 3〜4歳頃 | 自分で排泄する | 転倒・収納 |
| それ以降 | 一人でトイレを使う | 設備全体 |
年齢は目安です。次の点を今の子どもの行動で判断してください。
- ドアを開けられるか
- 便器へ登れるか
- 洗剤へ手が届くか
- 補助なしで安定して座れるか
子どもにはトイレの安全な使い方を短く伝える
トイレトレーニングは、「危ないから触らないで」と遠ざけ続ける時期ではありません。少しずつ自分でできることを増やしながら、安全な使い方も一緒に覚えていく時期です。
便器の中をのぞき込まない
「落ちるからダメ」と怖がらせるより、「便器を見るときは顔を近づけないよ」など、してほしい行動を短く伝えます。小さいうちは説明だけに頼らず、ふたを閉める環境対策も続けます。
踏み台の上では遊ばない
踏み台はトイレを使うための物だと伝えます。上でジャンプしたり、高い場所へ手を伸ばすために動かしたりしないというルールを決めておきましょう。
洗剤や消臭剤には触らない
「これは大人が使う物」と分けて伝えます。ただし、言葉が理解できるようになっても、洗剤や薬剤を手の届く場所へ戻す必要はありません。声かけと環境対策を両方続けます。
便座やふたを閉める前に手を離す
自分でふたを閉めるようになったら、「手を離してから閉める」と動作で教えます。きょうだいがいる家庭では全員で同じ使い方を共有するとよいでしょう。
困ったときは大人を呼ぶ
トイレットペーパーへ届かない、鍵が開かない、洗剤をこぼした。そんなときに「自分で何とかしなければ」と登ったり薬剤へ触ったりしないよう、「困ったら呼んでね」までトイレのルールにしておきます。
3分でできるトイレの安全チェック
毎日使うトイレなので、難しい安全点検を続ける必要はありません。子どもの目線までしゃがみ、便器から出口まで順番に見ていくだけでも、普段気づかなかった危険を見つけられます。各項目はタップしてチェックを付けられます。
便器まわり
踏み台・床
ドア・便座
トイレ用品
すべてを今日変える必要はありません。まず、便器のふた・洗剤の置き場所・踏み台の3か所から見直すと始めやすいでしょう。
トイレの安全対策でやりがちな勘違い
トイレは日常的に使うため、「これくらいなら大丈夫」と感じやすい場所です。事故例を見ると、その思い込みが事故につながることがあります。
「便器の水は少ないから溺れない」
水量だけで安全を判断しないでください。消費者庁は、便器内には常時水があるため、小さい子どもが誤って落ちないよう、ふたを閉めて一人で入れないようにすることを案内しています。そもそも頭から便器へ落ちる状態を作らないことが大切です。
「トイレトレーニングを始めたから一人で大丈夫」
自分で排泄できるようになることと、トイレ内のすべての危険を理解できることは別です。便器へ安全に座れるか、踏み台を正しく使えるか、洗剤を触らないかなどを見ながら、一人で任せる範囲を広げましょう。
「子ども用便座なら必ず安全」
東京都の調査では、子ども用便座がきちんと設置されておらず落下した事例も確認されています。毎回、ずれやガタつきを確認してから使います。
「踏み台は安全用品だから危険はない」
踏み台は排泄姿勢を助ける一方、便器をのぞいたり、高い収納へ登ったりする足場になる場合があります。使っていない時間の位置まで確認してください。
「洗剤は掃除用品だから子どもは触らない」
子どもは容器の形や色に興味を持ちます。トイレ用の酸性・アルカリ性洗浄剤には、少量でも粘膜などへ強い障害を与える可能性がある製品があります。子どもの判断に任せず、手が届かない場所で管理します。
「消臭剤は薬ではないから大丈夫」
消臭剤・芳香剤による誤飲や目への刺激などの事故は実際に報告されています。香りがあることと、子どもが自由に触って安全であることは別です。
「おむつ交換台のベルトを使えば目を離せる」
ベルトは転落防止のために使用しますが、大人の見守りを不要にする物ではありません。消費者庁の調査では、転落または転落しかけたケースの半数で、子どもから目を離していた時間はわずか1〜3秒程度でした。交換が終わったら先に子どもを降ろし、荷物整理やごみ捨てはその後に行います。
トイレで事故が起きたときはどうする?
どれだけ環境を整えても、事故を完全にゼロにはできません。事故が起きたときは「叱る」より先に、何が起きたのかと子どもの状態を確認してください。
便器へ頭から落ちた
便器へ転落した場合は、すぐに引き上げて呼び掛けへの反応と呼吸を確認します。正常な呼吸がない、反応がないなど緊急性が高い状態では119番へ通報し、通信指令員の指示に従ってください。
トイレへ一人で入れる状態だったことも事故原因の一つなので、事故後は便器だけでなく侵入経路も見直します。
踏み台や便座から落ちて頭を打った
頭を打った場合は、出血、意識、嘔吐、顔色などを確認します。こども家庭庁は、意識がない、出血がひどい、繰り返し嘔吐するときには救急車を呼ぶか至急受診するよう案内しています。顔色が悪く元気がない場合も受診が必要です。元気に見えても、その後の様子を確認してください。
洗剤や消臭剤を口に入れた
まず何を、どのくらい口に入れた可能性があるのか確認し、製品の容器や表示を手元に残します。
トイレ用の酸性・アルカリ性洗浄剤は、自己判断で吐かせてはいけません。日本中毒情報センターは、原液や濃い洗浄剤を口にした場合には口をすすぎ、製品に応じた対応をしたうえで速やかに受診するよう案内しています。
製品によって対応が違うため、分からない場合は医療機関や日本中毒情報センターへ相談してください。
薬液が目に入った
洗剤や薬剤が目へ入った場合は、目をこすらせないようにしながら、すぐに流水で洗います。日本中毒情報センターは、中毒事故で薬剤が目へ入った場合には流水で10分以上洗い、洗眼が難しい場合などは無理をせず受診するよう案内しています。
酸性・アルカリ性の強い洗浄剤など、製品によっては洗眼後すぐ眼科受診が必要です。容器を確認できるようにしておきましょう。
指を挟んだ
便座やドアへ指を挟んだ場合は、出血、腫れ、変形、爪の状態、指先の色を確認します。強く腫れている、形がおかしい、指を動かせない、出血が止まらない場合などは医療機関へ相談してください。痛がっている指を何度も曲げ伸ばしして確認する必要はありません。
119番/反応がない、正常な呼吸がない、意識がない、出血がひどい、繰り返し嘔吐するなど緊急性が高い場合は連絡し、通信指令員の指示に従ってください。
中毒110番/洗剤や消臭剤を口に入れた、目へ入ったなど、どう対応すべきか分からない場合は、日本中毒情報センターへ相談できます。製品の容器を手元に用意しておくと伝えやすくなります。
トイレの子どもの事故についてよくある質問
トイレトレーニングが始まると、「一人でやらせたい」と「まだ危ないかも」の間で迷うことが増えます。よくある疑問を安全面から整理します。
子どもが小さいうちは便器のふたを閉めた方がいい?
はい。消費者庁と東京都は、小さい子どもがいる家庭では便器のふたを閉めておくことを案内しています。ただし、成長すれば自分で開けられるため、トイレへ一人で入れない環境づくりも合わせて考えます。
トイレのドアにチャイルドロックは必要?
すべての家庭で必須とは限りません。ただし、乳幼児が自分でトイレへ入り、便器や洗剤へ触れられる場合には、一人で入れない対策を検討する価値があります。追加のロックを使う場合は、大人がすぐ解錠できることや、子どもの閉じ込め・避難の妨げにならないことも確認してください。
何歳から一人でトイレへ行かせてもいい?
年齢だけで一律に決めることはできません。自分で安定して便座へ座れる、踏み台を安全に使える、洗剤へ触らない、鍵を自分で開けられるなど、トイレ全体を安全に使えるかで判断します。できることが増えるたび、少しずつ大人が離れる範囲を広げるとよいでしょう。
子ども用便座はいつまで使う?
製品の対象年齢・体重を確認しながら、大人用便座へ安定して座れるようになるまでを目安にします。大人用便座へ移行した際に体が開口部へ落ち込みそうになる場合は、まだ補助便座が必要です。
トイレ用の踏み台は置いたままでも大丈夫?
子どもだけでトイレへ入れる時期は、置いたままの踏み台が別の場所へ登るための足場にならないか確認してください。便器の中、高い棚、洗剤などへ届く高さを作ってしまう場合は、使わない時間の置き場所を見直します。
トイレマットは子どもがいる家庭でも使える?
使用自体が問題なのではありません。ただし、東京都にはトイレマットへ足を引っ掛けて転びそうになった事例があります。めくれ、ずれ、踏み台との重なりがないか確認してください。
トイレ用洗剤はどこに置けばいい?
子どもが簡単に取れない保管場所へ置いてください。便器の横や床、低い棚は乳幼児にも届きやすい場所です。使用後は元の容器のまま、製品表示に従って保管します。
消臭剤や芳香剤は子どもの近くに置いてもいい?
自由に触れる位置は避けてください。東京都では消臭剤を舐めた事例があり、厚生労働省にも芳香・消臭剤による健康被害事例が報告されています。床置き製品も、子どもの成長に合わせて設置場所を見直しましょう。
外出先のおむつ交換台ではベルトをすれば目を離してもいい?
いいえ。ベルトは使用したうえで、交換台の上にいる間は目を離さないことが基本です。消費者庁の調査では、1〜3秒程度目を離した間にも転落・転落しかけが起きています。交換前に必要な物を準備し、交換が終わったらまず子どもを降ろしてください。
トイレは「便器だけ」でなく子どもの手が届く範囲を見る
トイレ事故の対策というと、「便器へ落ちないようにしよう」と考えがちです。もちろん、便器への転落は防ぎたい事故の一つです。ただ、実際のトイレには、子どもの事故につながる場所がいくつもあります。
- 便器
- 補助便座
- 踏み台
- ドア
- 床
- 洗剤
- 消臭剤
安全確認をするときは、一度子どもの高さまでしゃがんでみてください。大人にはただの便器でも、子どもには「中をのぞいてみたい水場」に見えるかもしれません。大人には便利な踏み台でも、「もっと高いところへ登れる道具」になります。掃除用の洗剤や香りのする消臭剤も、「触ったらどうなるんだろう」と興味を引く物です。
トイレトレーニングが始まれば、ずっと遠ざけておくこともできません。だからこそ、次の繰り返しが大切です。
- 小さいうちは近づけない
- 使い始めたら安全な方法を一緒に覚える
- できることが増えたら環境をもう一度見直す
「一人でできたね」と子どもの成長を喜びながら、事故につながる条件だけは大人が先回りして減らしておく。それが、毎日使うトイレを子どもが安心して使える場所へ変えていく安全対策になります。

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